むか~しむかしのことじゃった。
下野国の湯元には、それはそれは美しい花畑があったそうじゃ。
じゃが、時が過ぎ、時代がさがるにつれ花々は姿を消し、いつの頃からか、美しい花畑はなくなってしまったそうじゃ。
嘆き悲しんだ人々は、なんとか花畑を取り戻そうと、失われた花を一生懸命育てたそうじゃ。
春を迎え、夏が過ぎ、秋が訪れ、冬を越す…
そうして幾年も幾年も過ぎていった…
今年も春を迎え、人々は再び花を植える準備にかかったのじゃ。
なぜ、網で囲うのかじゃと?
それはな、この地にはシカが多く棲んでおっての、奴等が食べてしまうのじゃよ。
そうじゃ。忘れるところじゃった。
次の十四日(日)にはこの中に、ヤナギランの苗を植えるそうじゃ。
手はいくらあっても足りんと言うからの。
興味があったら、ひとまずワシに声をかけてくれんかのぉ。
頼むでの。