戦場ヶ原・小田代ヶ原は、利用者の湿原への踏込みが激しく、湿原生態系に重大な影響を及ぼす可能性がある為、遊歩道が見えない冬期間は全面的に利用を禁止すべきである。
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実際、過去に役所側から提案された意見。
国立公園・またラムサール条約の性質から、利用者側の立場で反対をしてきたが、役所の発言が正しいのかもしれない。
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10/2/22の戦場ヶ原
スノーシューの踏み跡が辺り一面に広がる。
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確かに、スノーシューやXCを履けば、冬のフィールドを自在に歩けるようにはなる。
また、各種山系の雑誌・メディア、アウトドアショップでも、それを大きく喧伝することで、冬のフィールドへの誘いとしている。
だが、誤解があってはいけない。
スノーシューやXCは冬のフィールドを自在に移動する為の手段であって、スノーシューやXCを履いていればどこへ立ち入っても許されるという免罪符ではない。
ましてや、
こんな風に、敢えて植物を踏みつけ、傷つけながら歩いて行く為の道具ではない。
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状況が酷いのは国道沿いの三本松園地付近。
また、自然研究路沿いで見晴らしが広がる地点。
中には三本松からまっすぐに湿原部を横断していると思われる足跡もある。
基点から考えれば、レンタルスノーシューの利用者も多く含まれるであろう。
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現在、冬の奥日光は スノーシュー利用者により賑わいをみせており、スノーシューのメッカの一つとなっている。
これまで、スノーシューで奥日光のフィールドを楽しむ事を推奨してきたが、この状況を見ると間違えていたのではないかとさえ思う。
奥日光がスノーシューのメッカとなった事は、少なくとも短期的には負の側面が大きいように感じる。
長期的にもマイナスとするか否かは、利用者・地域・行政、各々によって決定される事であろう。
以下はあくまでも私的な意見。
金銭的な観光資源としてのみではなく、奥日光が真にスノーシューの一大メッカとなれば良いと切に願う。
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1.利用者=事前学習の不足
自分が向かうフィールドがどのような場所であるかを事前に調べるのは当然の事。
地図すら持たない利用者が増えている事を考えれば、現地を事前に調べていない事が推測される。
活動の安全を図る為にも、事前学習はしておくべきであろう。
2.地域=普及啓発・意識の不足
三本松周辺の荒れ方が酷い事を考えると、レンタル利用者が踏み込んでいる可能性は十分にある。
レンタル時点で立入禁止情報、コース状況などを伝え、積雪状態に応じてコースを誘導するなどの対応が必要だろう。また、これらはレンタルショップに限らず、宿泊施設側でも顧客とのコミュニケーションをとり、伝達するなどの対応を要する。
そして、この対応は、おそらく地域の魅力に変わる。
更には、雑誌等の取材時には、湿原部への立ち入り禁止を記事内に加えてもらうなど事前の配慮も必要ではないか。
事前情報を持たない利用者の受け入れ態勢を如何に整えるかが重要となるだろう。
3.行政=仕組みの不足
・現在、利用に関しては基本的に【依頼】であり、強制力が無い。
利用の状況によっては、強制力を持つ仕組みを作らねばならないのかもしれない。
・湿原への踏込みが集中するエリアがあり、エントリールートが限定されている事を考えると、目立つ告知看板を冬期のみでも設置するという対策もあろう。現在は、所々に小さな看板があるのみで、殆ど目立つ事が無い。赤沼・光徳入り口・湯滝などに目立つ看板を設置してはいかがなものか。
・三本松からの踏込みが多い一因には駐車場の問題も大きいのではないか。
赤沼駐車場を除雪し、ここを戦場ヶ原・小田代方面への入り口として整備し、自然博物館の赤沼情報センターを通年利用可能とし、ここを普及啓発の基地にする。
看板設置にしろ、駐車場利用にしろ、これらの仕組みは行政でなければ作る事が出来まい。
戦場・小田代エリアを全面立入禁止にする前に、まだやるべき事はある。